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承認欲求と仏教の関係:正しい承認欲求を持つことは大切なこと

 

 さて、草薙龍瞬さんの『反応しない練習』の解説シリーズです。ベストセラーだけあって、この本は一部でものすごく誤解されています。

 その誤解の最大の部分が、この本を「煩悩の否定」だ、怒りなどの感情を消してしまえば、すべてうまくいくのだ、という部分です。こんなことは、この本のどこにも書いてありません。

 これについては、この動画にまとめました。


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 また、そこから発生する重大な誤解として、この本は「シカトすること」「スルーすること」の勧めだという誤解です。これは別個にまた動画を用意しますが、これもどこにもそんなことは書いていません。

 どうも、この本を読む前から、結論ありきでタイトルに惹かれて「こんな本だったら良いな」「こんな本を求めていた」という人が、強引に解釈しているのではないかと思われます。

 そういう傾向がよく出ているのが、この本は「承認欲求を否定している」というものです。この本は「承認欲求」を否定していません。

 これも、そんなことは書いていないし、むしろその逆にこの本は「承認欲求をうまく使え」と、この本では、承認欲求を自分で認めて大切に使うことで、よりよい人生が送れる、としているのです。

 どうしてそういう、真反対と言える読解が生まれてしまうのでしょうか。これもまた、本を読まないうちに、本の中身を「こうだったら良い」という視点で見てしまっているからでしょう。

 この、とらわれてしまった、自分に都合の良い態度こそが一番良くない。物事を正しく観る、「理解する」ことによって、無駄なことに「反応しない」という正しい態度を身につけることを強く勧めているこの本で、一番取ってはいけない態度であることは間違いありません。

 この本が愛読書だ、という人に残念ながら特にその傾向が強いように思われます。正しくこの本を読んで、ぜひ、間違いから目を覚ましてほしいと思います。そっち方面じゃなくて、正しいやり方をしないと、またすぐに、感情に振り回される自分に戻ってしまいます!

 書籍から、ズバリ引用してみましょう。

 

「承認欲」は、人の目が気になってしまう性格や、嫉妬心、比較して 優劣や勝ち負けにこだわってしまう心理など、さまざまな悩みの原因になっています。 「この反応の理由は承認欲だ」と理解しないと、つい反応して、人の目を気にして、嫉妬に駆ら れ、較べたり、競争したりして、舞い上がったり、落ち込んだりと、動揺しまくりの人生を繰り 返すことになります。

「ある」ものは「ある」と、まず理解することが、一番正しい心がけなのです。 「わたしには承認欲があるのだ」と、素直に受け入れてしまう。

不思議なことに、それだけで、 あれほどの不満── それまでの ふ 憤 んま 懣 ん 、物足りなさ、さみしさ── が収まっていくことがありま す。

草薙龍瞬『反応しない練習』

承認欲求を拒否すること、スルーすること、シカトすることではなく「理解すること」「あると肯定すること」が「反応しない練習」

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 ようするに、認めて欲しい、ということを消すのではなく、このもやもやって、「承認欲求」から来ているんだな、と理解する、まともにそれを受け止めて承認欲求があることを肯定することがベストだと、草薙龍瞬さんは言っています。

 それだけで「不思議なことに、それだけで、 あれほどの不満── それまでの ふ 憤 んま 懣 ん 、物足りなさ、さみしさ── が収まっていくことがあ」るのです。これが、反応しない練習、つまり、認めて肯定して理解することが反応しない練習なのです。

 さらに、承認欲求にはこんな良いこともある、と積極的に言っています。

承認欲求を手放さないで大事にすることが、正しい努力を導き出す

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①認められたい気持ちをモチベーションにして、今の仕事・生活を「改善」していく。
②どんなときも「自分のモノゴトに集中」する。
③「自分で納得できる」ことを指針(基準)とする。


あなたが出家でもするつもりがないかぎり、承認欲は大切にしてよいと思います。「ライバルに負けたくない」「勝ってプライドを守りたい」「評価してもらえるような成果を上げたい」「もっと能力を磨きたい」── それが活動のエネルギーになってくれるなら、大いに頑張ろうではありませんか。

草薙龍瞬『反応しない練習』

 この本を誤解している人が多数いるわけですが、それはそれで大問題ですけど、それを離れても、みこちゃんは、世の中の承認欲求否定って、根本的に間違っていると思います。

 褒められれば嬉しい。これは当たり前で、この感情があるから人はまっすぐに、伸び伸びと才能を伸ばしていけると思います。承認欲求を否定したい人は、人から褒められたこと、そこから前向きに頑張ったことがない、できない人なのではないかと思ってしまいます。

 そういう人が、この名著を自分に都合よく、間違ってデタラメに読んでいるのではないか……。

 どうも、関連動画や書評などを見てみると、そういう思いを禁じえません。