明けましておめでとうございます。2025年もよろしくお願いいたします。 本日は元旦ということで、七福神のお話をしたいと思います。七福神とは、日本で信仰されている福をもたらすとされる神々であり、「恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、…
今年も年末年始が近付いて参りました。日本仏教において年末年始に行われる行事として有名なのは「除夜の鐘」と思います。多くの寺院で「108」回撞かれるようですが、この「108」という数字は人間の煩悩の数と言われています。 ja.wikipedia.org 「108」の煩…
大乗仏教における「空性・真如・仏性」を芸術的に受け止めたのが日本の茶道ではないかと思います。この道は茶人千利休(1522-1591)とその師の武野紹鷗(1502-1555)によって大成されます。禅を学んだ紹鷗は茶室に飾る高価な置物や道具よりも人間の心を重視…
〇道元禅師の本証妙修と身心脱落 唐代の中国で南宗禅を大成した禅宗第六祖の大鑑慧能(638-713)が曹渓という場所を拠点に教えを広め、その教えを受け継いだ禅僧の洞山良价(807-869)が洞山という場所を拠点に教えを広めたことから、後に曹渓と洞山の頭文字…
〇無位の真人(仏性) 中国の唐代に、禅僧の臨済義玄(?-867)が福建省の黄檗山にて、黄檗希運(?-850)のもとで修行し、後に独立して臨済宗の基礎を築きました。日本では明菴栄西(1141-1215)が入宋して、日本国内に臨済禅を伝え、日本臨済宗の基礎を築き…
〇法蔵菩薩(ダルマーカラ)の誓願 『浄土三部経』は『仏説無量寿経:大無量寿経(大経)』『仏説観無量寿経:観無量寿経(観経)』『仏説阿弥陀経:阿弥陀経(小経)』の三経典であり、いずれも阿弥陀如来(梵語でアミターバまたはアミターユス)と極楽浄土…
七世紀のインドにおいて、ある程度の形を整えていたと言われる『大日経(大毘盧遮那成仏神変加持経)』と『金剛頂経』は中期密教を代表する経典ですが、これらは前期密教(呪法の経典で、現世利益を主体に説く)と異なり、中観・唯識・如来蔵といった大乗仏…
〇盧遮那仏(盧遮那如来) 『華厳経』の教主、盧遮那仏(毘盧遮那仏)は梵語でヴァイローチャナといいます。ヴァイローチャナは光明遍照、即ち、太陽という意味であり、盧遮那仏(盧遮那如来)は太陽のように常に世界を照らし続ける偉大な仏という意味です。…
hiruandon-desu.hatenablog.com 大乗仏教において、この世に現れた仏、釈尊は前生で誓願を成就して今生の娑婆世界(穢土)で覚りを達成させ(如来法身と合一を果たし)、娑婆世界(穢土)を利他行の場所として仏国土(浄土)へと転ずる穢土即浄土を実現した…
〇世界外と世界内のブラフマン 覚りを開いた後、仏法を説法すべきか否かを迷う釈尊のもとに娑婆世界の主である梵天(ブラフマー)が現れて、説法を勧める「梵天勧請」の話はよく知られているのではないでしょうか。そもそも梵とは?ブラフマンという宇宙最高…
西田幾多郎は、古代ギリシア哲学が「有(形有るもの)」を実在の根底に考えたのに対し、西洋人と先祖を同じくするアーリア人による古代インド哲学は「無(形無きもの)」を実在の根底に考えたとしています。 hiruandon-desu.hatenablog.com 〇古代ギリシア …
hiruandon-desu.hatenablog.com 前回の記事の続きになりますが、『華厳経』の修観の解説として、中国華厳宗の第四祖 澄観が説く「四法界」観がよく知られているかなと思います。 〇四法界観 ・事法界観 「事」または「相」とは現象界・個物のことであり、森…
『華厳経』の「三界唯心」は中期大乗仏教の如来蔵思想や唯識思想の原点の一つではないかともいわれています。この経典の『夜摩天宮菩薩説偈品』において、仏の神通力を承り、各々の世界を代表する菩薩達が偈頌を唱えます。九番目に登場する如来林菩薩が唱え…
大乗仏教 唯識学派が説く「四種涅槃論」 「四諦の滅諦」、即ち「道諦(八正道)」によって最終的に至る境地が、煩悩を滅した涅槃(ニルヴァーナ)です。大乗仏教の唯識派はその涅槃について次の四種を説くようになります。 ・本来自性清浄涅槃 真如のことで…
繰り返しになりますが、釈尊の教えは智慧と慈悲からなっていると言えます。それは釈尊が成道前には上求菩提の道に往って仏法を覚り、成道後には下化衆生の道に還って衆生へ仏法を説いて導いたという生涯から伺い知ることができます。仏教の中心である智慧と…
hiruandon-desu.hatenablog.com 前回の記事の続きになりますが、今回はまず初期大乗経典の一つである『維摩経』に登場する天女の話を取り上げます。『維摩経』で説かれる女性観は、大乗仏教の「空」の思想が適用された非常に高度なものとなっています。主人…
釈尊と直弟子の頃の原始仏教の時代、当時のインド社会で女性差別が普及する中でも涅槃・解脱(出家者の場合、阿羅漢果)の可能性において男女間に違いはありませんでした。その後、時代の流れは女性蔑視が強い方向へ向かっていきますが、釈尊が存命だった頃…
マハーパジャーパティー・ゴータミー(梵語:マハープラジャーパティー・ガウタミー)(摩訶波闍波提)は史上最初の比丘尼(女性出家者)とされています。彼女は釈尊の母方の叔母として、そして育ての母として知られています。彼女の家系に関する情報は多種…
繰り返しになりますが、原始仏教の教団は、比丘・比丘尼、優婆塞・優婆夷の四衆から成っていました。前の二つは出家者の男女であり、後の二つは在家者の男女です。出家者は社会的義務を離れて遊行生活に入り、二百カ条を超える戒律に従って身を処しました。…
初期大乗経典の中で、『浄土三部経』は非常に有名だと思います。『浄土三部経』は『仏説無量寿経:大無量寿経(大経)』『仏説観無量寿経:観無量寿経(観経)』『仏説阿弥陀経:阿弥陀経(小経)』の三経典であり、いずれも阿弥陀如来(アミターバまたはア…
〇釈尊の十大弟子 ①舎利弗(舎利子) 巴語:サーリプッタ、梵語:シャーリプトラ 称号:智慧第一 サーリプッタは、弟子たちの中で最も上位にあった人物です。バラモン出身で、若い頃から学問に秀で、最初は懐疑論者サンジャヤ・ベーラッティプッタの弟子とな…
初期大乗経典の一つである『維摩経』は、文学的にもとても面白い経典と思えます。商業都市ヴァイシャリーの大城に住むリッチャヴィー族の維摩(ヴィマラキールティ)とよばれる在家居士が主人公です。彼は俗人の白衣を身に着けながらも沙門の行いを全うし、…
初期大乗経典の一つである『華厳経(大方広仏華厳経)』には菩薩道を歩む普荘厳童子と善財童子が登場します。特に、「善財童子の求道物語」は有名だと思います。善財童子を指導した善友(師)達は皆非常に個性的で、各々が自分に合った方法で覚り(法界)へ…
下記の記事の続きになります。 hiruandon-desu.hatenablog.com 通常輪廻転生というと、Aが輪廻してA'となり、A'がまた輪廻してA"になる、そこに共通して存続する輪廻主体(我=アートマン)を考えるかと思います。しかし、仏教ではA→A'→A"に共通して存続する…
hiruandon-desu.hatenablog.com 上の記事の続きになります。 仏教の輪廻説については様々な議論があります。パーリ仏典を見てみると、重要教義の中に当たり前のように輪廻説が取り入れられていることから、輪廻思想は仏教の核心とする意見がある一方で、あく…
hiruandon-desu.hatenablog.com 上記の記事の続きになります。今回は「他心通」の話になりますが、同時に幾つも触れておきたい話がありますので、併せてお話します。 ○西田幾多郎の「人格的自己」 西田幾多郎は、歴史的世界という本来の立場において、我々は…
「六神通」の続きの話に入る前に、西田幾多郎の哲学、ルネ・デカルトやイマヌエル・カントの哲学に続き、古代インドの「輪廻転生」の思想の話もしておきたいと思います。まず最初に『チャーンドーギヤ・ウパニシャッド』や『ブリハドアーラニヤカ・ウパニシ…
hiruandon-desu.hatenablog.com 上記の記事の続きになります。今回は西洋の近代哲学者の中でも特に有名であるデカルトとカントの哲学を、自由意志を持つ自己(個物)側と普遍側の関係という視点から見ていきたいと思います。彼らの哲学も西田幾多郎の哲学に…
hiruandon-desu.hatenablog.com hiruandon-desu.hatenablog.com 『善の研究』において、西田は一切を純粋経験の発展・分化として考えました。しかしながら、純粋経験②=反省的思惟は、主観と客観が分裂した状態であり、現在意識に変わりないとは言っても統一…
今回は下記の記事の続きになります。 hiruandon-desu.hatenablog.com 西田幾多郎は『善の研究』第二編の末尾において、「自愛」と「他愛」について説いています。 数理を解し得ざる者には、いかに深遠なる数理も何らの知識を与えず、美を解せざる者には、い…